
良いことを教わったけれど、自分の発信に使ったらパクリみたいで気になるんですよね。
「良くないんじゃないか」。
そう思って、手が止まってしまうことはないでしょうか。
「パクる」という言葉には、ずるい、恥ずかしいといった悪いイメージがあります。
せっかく学んだことがあっても、自分の仕事や発信に取り入れることをためらってしまう…。
でも考えてみると、人は昔から、誰かのやり方を真似しながら成長してきました。
親の振る舞い、先輩の仕事の進め方、わかりやすい人の伝え方。
そうしたものを取り入れ、自分なりに使いながら、少しずつできることを増やしてきたはずです。
僕自身も、学生時代に作品を「似ている」と言われた経験から、真似ることに苦手意識を持っていました。
だからこそ今回、TTP(徹底的にパクる)について、あらためて考えてみました。
「オリジナルでなければいけない」に縛られていると、いつまでも最初の一歩を踏み出せません。
この記事を読むと、TTPが悪いことではない理由と、「盗む」と「学ぶ」の違いがわかります。真似ることへの不安がやわらぎ、学んだことを自分なりに使えるようになります。
まずは「盗む」と「学ぶ」の違いだけでも、持ち帰ってみてください。


【たけと】
- 人が動き出せる環境づくりに10年以上
- 集団より「ひとりの時間」が落ち着く
- 精神論より、動けない仕組みをほどく
- 「ないもの」より「あるもの」から始める
- 「自分のサイズで動き出す」をテーマに発信中
結論:TTPは悪いことじゃなく、積極的に取り入れたい学び方


先に結論から言うと、TTP(徹底的にパクる)は、悪いことではありません。
むしろ、成長するために積極的に取り入れたい学び方だと僕は考えています。
人は昔から、誰かのやり方を観察し、真似ることで多くのことを身につけてきました。
さらに、先人が築いた知識や型を受け継ぎ、そこに工夫を重ねることで、社会や技術も発展してきました。
ここからは、TTPを積極的に取り入れたい3つの理由を紹介します。
- 人はそもそも、真似ることで成長してきた
- 著作権では「アイデア」と「表現」が区別されている
- 先人の知恵を借りるほど、その先に進める
理由①:人はそもそも、真似ることで成長してきた
人はもともと、「真似る」ことで成長してきました。
誰かを見て、覚えて、やってみる。
そうやって少しずつ、できることを増やしてきたのです。
例えば、子どもは親の立ち振る舞いを見て、同じような振る舞いを覚えます。
仕事でも同じです。
先輩の仕事の進め方や言葉の選び方を見て覚える。
説明が上手な人の話す順番を観察し、自分でも試してみる。
これらもすべて、誰かを見て学んでいるということです。
心理学では、このように他者を観察して学ぶことを「観察学習」と呼びます。
心理学者のアルバート・バンデューラは、ボボ人形実験を通して、子どもが大人の行動を観察し、その行動を再現することを示しました。
つまり、人は直接教えられたり、報酬や罰を受けたりしなくても、他者を見ることで行動を学べるのです。
だから真似ることは、人にもともと備わった自然な学び方だと言えます。



僕も仕事を始めた頃は、先輩がお客さんとどう関わっているか、記録をどう残しているかを見ながら、真似して覚えてきました。そうやって、少しずつ仕事を身につけていった感覚があります。
理由②:著作権では「アイデア」と「表現」が区別されている
そもそも著作権では、「アイデア」と「表現」が区別されています。
著作権が守っているのは、考え方そのものではありません。
それを文章や絵などの具体的な形にした、「創作的な表現」です。
著作権法でも、著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義されています。
そのため、抽象的なアイデアや一般的なやり方、型そのものは、原則として著作権では保護されません。
公益社団法人著作権情報センターは、次のように説明しています。
頭の中にあるイメージやアイデア、あるいは技法などは著作物ではなく、作品として具体的に表現されて、はじめて著作物となり得る(著作権情報センター「著作物って何?」より)
例えば、カレーライスで考えると、わかりやすいかもしれません。
「ご飯にカレーをかける」という基本的なアイデア自体は、誰か一人のものではありません。
その上で、スパイスの配合や具材、盛り付けといった具体的な表現に、そのお店らしさが出ます。
ブログも同じです。
「この順番で説明すると伝わりやすい」という考え方や構成は参考にできます。
ただし、文章や言い回しまでそのまま使うと、相手の表現をコピーしたことになります。
つまり、線引きはシンプルだと思っています。
- 丸写し:その人の表現を、そのまま持ってくる。著作権上、問題になる可能性があります。
- 型を借りる:考え方や構造を参考にして、自分の言葉で、新しい表現として組み立てる。これは学びと言えます。
この違いを意識すれば、真似ることを過度に怖がる必要はないと考えています。



僕は、「文章を真似る」のではなく、「伝え方の型を真似る」と考えるようにしています。そうすると、真似ることへの抵抗が少しやわらぎました。
理由③:先人の知恵を借りるほど、その先に進める
先人の知恵を借りるからこそ、その先へ進めます。
新しいものは、何もないところから突然生まれるわけではありません。
すでにある仕組みや知恵を土台に、改良や工夫を重ねることで発展していきます。
車やスマートフォンも、基本的な仕組みを受け継ぎながら進化してきました。
個人の学びも同じです。
限られた時間や労力で成果を出すには、すでにうまくいっている型を出発点にすることが近道です。
僕も文章を書くときは、成果を出している人の構成や伝え方を参考にします。
そして、自分の経験や解釈を加えることで、自分らしい文章へと変えていきます。
型を借りることは、自分のオリジナルを生み出すための出発点なのです。



でも、やっぱりパクってる感じがするんだよね…。
ここで、少し視点を変えてみます。
TTPとは、すでにうまくいっている人から学ぶことです。
言い換えれば、先人が試行錯誤を重ねて築いてきた本質的な知恵を受け取ることでもあります。
だから、「真似は悪いことだ」と避けてしまうと、基本を知らないまま自己流で進んでしまう可能性があります。
その結果、遠回りをしたり、同じ失敗を繰り返したりするかもしれません。
先人が失敗しながら整えてくれた道を使わず、遠回りすることになるからです。
さらに、先人の知恵を十分に学ばないまま誰かに伝えると、整理されていない内容を渡してしまうかもしれません。
TTPを避け続けることは、知恵を残してくれた人にも、これから自分が伝える相手にも、少しもったいないことだと思っています。



「先人の知恵を自分なりに伝えていく」この考え方をしてから、僕の中で、「真似ること」の意味が変わりました。
体験談:「似ている」の一言で、真似ることが怖くなった


僕は、長いあいだ「パクること」に強い抵抗がありました。
ビジネス書や講座で、「うまくいっている人を真似しよう」「自己流より、まずは型から」と学んでも、どこかに怖さが残っていたのです。
頭では理解できていました。
最初からすべてを自己流でやれば、時間も労力もかかります。
先にうまくいっている人がいるなら、その人から学んだほうが早いし間違いも少ない。
それでも、どこかでブレーキがかかっていました。
そのきっかけをたどると、学生時代の美術の時間に行き着きます。
僕の作品が、ほかの生徒のものと「似ている」と言われたことがありました。
誰かをそのまま真似したつもりはありません。
それでも「似ている」と言われた瞬間、悪いことをしたような感覚になりました。
その経験から、僕の中にはこんな思い込みが残りました。
- 人と同じことをしてはいけない
- 似ていると思われてはいけない
- 真似ることは悪いことだ
さらに、SNSなどで「これはパクリだ」と批判されている場面を見るたびに、その怖さは強くなっていきました。
本当の盗用や丸写しなら、もちろん問題です。
でも、ネットでは「似ている」というだけで、強く責められているように見えることもあります。
そのため、自分が発信するときも、「これ、似すぎていないかな」と必要以上に考えるようになりました。
学んだ内容を発信するときも、元の表現から離れようとして、言葉を何度も変えてしまいます。
しかし、言葉を変えすぎるほど、本当に伝えたかったことから遠ざかっていきます。
意味がぼやけ、自分でも「何を言いたかったんだ?」と分からなくなることがありました。
TTPについて考えるうちに、怖さの正体が見えてきました。
僕が怖かったのは、TTPそのものではありません。
「似ている」と言われ、責められることでした。
美術の時間の記憶と、ネットで見てきた批判が重なり、学んだことを使うところまで怖くなっていたのだと思います。
でも今は、少し考え方が変わりました。
誰かの表現を丸写しすることと、うまくいっている人の考え方や型から学ぶことは、まったく別のことです。
そう整理できてから、TTPへの抵抗は少しずつ小さくなりました。
もちろん、今でも「似すぎていないかな」と不安になることはあります。
それでも、その怖さに引っ張られて、伝えたいことまで見失ってしまったら本末転倒です。
今の僕は、TTPを「先に進んだ人の知恵を借りること」だと捉えています。
全部をゼロから考えなくてもいい。
先人の型を学び、自分の経験や目的に合わせて使えばいい。
そう思えるようになってから、発信への抵抗も少しずつ小さくなってきました。



慎重だからこそ、学んだことを自分なりに確かめながら扱えるのだと思います。「盗む」と「学ぶ」を分けて考えるだけでも、少し動きやすくなるはずです。
まとめ:TTPは「観察して学ぶ」技術


TTPは、うまくいっている人や物を観察し、考え方や型を自分なりに活かす学び方です。
誰かの表現を、そのまま盗むこととは異なります。
- 人はもともと、真似ることで成長してきた
- 考え方や型を借りることと、表現を丸写しすることは違う
- 先人の型を借りるほど、その先に進める
そして、もうひとつ。
知恵を発信している人は、その知恵が誰かの役に立つことを願って届けているのだと、僕は考えています。
TTPは、受け取った学びを、自分の言葉に変えて、次の誰かへつないでいくことでもあります。
だからこそ、学んだことを自分の中に取り込み、どんどん使っていっていいのだと僕は思っています。
まずは、「盗む」と「学ぶ」の線引きを持つ。
そのうえで、先人の知恵を一つ、自分の行動に取り入れてみる。
その一歩が、自分自身の新しい「型」の始まりになるはずです。









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